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【TAKE ACTION】Vol.2_江間麻美さん|管理栄養士・ピラティストレーナー

【TAKE ACTION_Vol.2 】  


「アクションするひと」をテーマに、様々な場所で活躍する女性たちの素顔を紐解く連載インタビュー。
素敵なあのひとが、自分のためにしているアクションって何だろう?という素朴な疑問からスタートしたこの企画では、女性たちのこれまでの歩みと、BRÁCTが掲げる「今、わたしを愛するアクションを」という合言葉を軸に、より健やかに心地よく生きるためのヒントを探ります。  

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日本で初めて自治体として「ゼロ・ウェイスト(ごみゼロ)」宣言をした町、徳島県上勝町。
人口1500人足らず、信号機はひとつしかない小さなこの町では、
ごみを出さない「ゼロ・ウェイスト」という活動に取り組み、世界中から注目を集めています。

▼ゼロウェイストとは?

「ゼロ・ウェイスト」とは、無駄や浪費をなくし、出てきた廃棄物をどう処理するかではなく、そもそもごみを生み出さないようにしようという考え方のこと。
上勝町では、2003年のゼロ・ウェイスト宣言からごみの削減に取り組み、なんと今ではリサイクル率が80%にものぼるそう。

ゼロ・ウェイストの取り組みを象徴する「ゼロ・ウェイストセンター」という名のごみステーション。


家庭で出たごみは、住民自らこのセンターへ持ち込み、45分別(!)を行っています。
ケースの前にはごみ1kgあたりの処理に発生する費用や、何にリサイクルされるのかを記載した案内がついており、自分が出したゴミがこの後どういうルートを辿るのかが一目で分かるようになっていました。
細かく分別することで、ごみから資源を救い、処理費用も大幅に抑えることができるのだそうです。


江間麻美さんは、そんな上勝町のゼロ・ウェイスト活動に惹かれて他県から移住を決めたひとり。
食事や運動の指導、さらには医療からも多角的にヘルスケアサポートを行う「RINDOU」の代表として活動する傍ら、現在はNPO法人ゼロ・ウェイストアカデミーの理事を務めていらっしゃいます。

健康と環境問題、そしてご自身のためのアクションについてお話しを伺いました。

ーーー管理栄養士、ピラティストレーナーとして、これまで多くの女性たちをカウンセリングされていますが、どんなお悩みを持つ方が多いですか?

女性は生理や頭痛、アレルギー、疲れやすいなど、病院に行くほどでもないけど、何かしら不調があるという方がすごく多いです。

 

ーーー不調の原因として、共通の要因はあるのでしょうか?

もちろん原因は人それぞれですが、圧倒的に多いのは小麦の摂り過ぎですね。
小麦に含まれるグルテンは、人間の体では消化できない物質なので、摂り続けることで腸の粘膜が炎症を起こし、免疫機能が落ちてしまいます。

分かりやすく言うと、腸の粘膜に穴が空いてその隙間から本来入り込むことがない有害な物質が体内に漏れてしまい血液まで入り込むようになります。

そうすると、体はそれを異物と認識しアレルギー反応が起きる。
花粉症の方も、グルテンフリーにすることで症状が和らぐケースが多いです。
近年では「リーキーガット(腸漏れ)」と言われ、様々な不調が起こる原因となっています。

グルテンはモルヒネと同じくらい依存性が高いと言われて、皆さん頻繁に摂取しがちなのですが、腸内環境を整えておかないと必要な栄養素もきちんと入っていかないので、常に自分の内蔵はどうかな、と気にかけてあげることが大切です。

 

ーーーRINDOUのメニューに「オーソモレキュラー栄養療法」という項目がありますが、具体的にどのようなことをするのでしょうか?

オーソモレキュラーはできるだけ薬を使わず、食事とサプリメントで治療していくという栄養療法なんですけれど、提携している医療機関で血液検査や尿検査、細胞レベルまで見るような検査を実施し、どんな栄養素が不足しているか、細胞の中で栄養素が代謝されているのかなどを調べます。

また、栄養状態だけでなく、環境ホルモンや重金属、水銀、プラスチックに吸着する有害物質などをどれだけ取り込んでいるかまで推測することができます。
その検査データをもとにドクターと連携をしてお客様に栄養指導を行っていました。

ーーー有害物質が体内に入ることで、体にどのような影響を及ぼすのでしょうか?

例えばお肌を綺麗にしたくても、有害なものが体内にあれば、それを解毒するために沢山の栄養素を使ってしまう。必要な栄養素が奪われていくことで、「疲れやすい」などといった不調も起きやすくなります。
実際にそういう状況のお客様を目の前で見てきて、有害なものが身体に入り込んできているって大変なことだなと痛感しました。
その辺りから、徐々に環境問題にも関心を持つようになっていきましたね。

 

ーーー健康と環境問題は切り離せない関係なんですね。そこからなぜ上勝町に移住しようと思ったのですか?

『ゼロ・ウェイストPLUS~持続可能な暮らし~』というドキュメンタリー映画を観たことがきっかけです。
海洋プラスチック等のごみ問題をテーマに掲げた内容なのですが、そのなかで上勝町の取り組みが紹介されていました。

この映画を観たときに、これまでのヘルスケアの仕事を通じて感じていたことと、作品の内容が全てリンクして。
まずは地球の健康(プラネタリーヘルス)を守っていかないと、人の健康も守れないんだと知り、もうちょっと自分の視野を広げてみようと、翌月から上勝町へ1年ほど通い続け移住を決めました。

江間さん宅のごみ箱スペース。よく見るとコンタクトの外装やホッチキスの芯などが細かく分別されているものの、思いのほかすっきりコンパクト。“ゼロ・ウェイストやってます感”はなく、当たり前に生活に溶け込んでいる風景が印象的。

 

“上勝町に来て、本来あるべき姿に戻った”

 

ーーー移住してみて、気持ちの面で何か変化はありましたか?

すごくありますね。
なんか、色んなこと頑張るのをやめようって思いました(笑)
ここに来る前は、仕事を極めたい・追求していきたいという想いが強く、それが思考の9割を占めていました。
好きなことをしていたからこそ、頑張りすぎている事に気づいていなかったんですよね。

キッチンには、サランラップ代わりの蜜蝋ラップやシリコン製の保存容器、セラミック製のコーヒーフィルターが。小さなアクションも、積み重ねることで大幅なごみの削減に繋がる。

上勝町に来てからは、『どういう暮らしをしていきたいか?』ということに焦点をあてて考えるようになりました。
例えばゆっくり料理をつくる、小まめに掃除をする、そういう暮らしの方が大事なんだな、暮らしありきの仕事なんだなって。

本来あるべき姿に戻ってきた感覚です。
最初はゼロ・ウェイストに惹かれて移住しましたが、何より人との交流も本当に温かくて、それ以上のことを教えてもらっていると感じています。


ーーー起業をしつつ、現在はゼロ・ウェイストの普及も推進するなど、とてもアクティブに活動されていますが、自分のやりたいことを叶えていくポジティブなマインドは、どのようにキープされていますか?

結局は健康である、ということが土台になっているんじゃないかな。
体調が悪いと、どうしてもネガティブな感情に引っ張られてしまうし、身体が健康であることが、メンタルの安定にも繋がっていると感じます。
姿勢を整えておくと、自律神経のスイッチがうまく切り替えられるので、ピラティスからも良い影響を受けていますね。

江間さんが開催する「上勝ホリスティックリトリート」では、上勝町の雄大な自然のなかで、動く瞑想とも言われるピラティスレッスンを受けることができる。

 

ーーーご自身の“こころ”と“からだ”のために行っている「アクション」を教えてください。

昔は忙しくしている方が充実感を感じていましたが、今は“余裕と余白”を常にもっておくように心がけています。そうすることで、自然と物事に迷ったり、悩むことが減って直感で動けるようになりました。

目の前に新しいチャンスが巡ってきても、両手が塞がっていたら掴めない。
余裕を設けておくことで、そこへ新しいものが入ってきて次に繋がっていっていると感じます。

それから、日々の食事は「本当に今必要としているものなのか?」を常に考えて選択したり、身体に無理をさせない。
限界が来る前にケアをすることも大事にしています。

 

ーーー最後に、今後チャレンジしたいことはありますか?

まずはゼロウェイストの文化をさらに広げていき、この地域以外にもゼロウェイストの町を作れたらいいなと思っています。

江間さんの自宅前にある小型の回転式コンポスト。生ごみは集積所では回収されないため、各家庭でコンポストや畑の堆肥として使用する工夫がなされている。

ゼロ・ウェイストってそんなに難しいことではなく、暮らしが快適で心地よくなる要素が多いんです。
例えば、生ごみをコンポスト*すればシンクがいつも清潔に保てますよね。
そういった自分が心地よい・楽しいと感じる選択や行動が、実は地球にもいいことしてた、くらいの感覚で取り組むのがベストなんじゃないかな。

*コンポスト=家庭からでる生ごみなどの有機物を微生物の力で発酵・分解させ堆肥化すること

それから、私自身、栄養学にすごく助けてもらったので、いつか自分の作った料理やお菓子を通して健康面の悩みが解決できる元気になれるお店を、からだと心が整えられるような場所を創りたいと思います。





Profile   

えま あさみ|管理栄養士・ピラティストレーナー
10代の頃からアレルギーや慢性的な身体の不調に悩まされる。オーソモレキュラー療法やピラティスと出会い、全ての症状が改善。 世の中の同じような悩みを持った人たちを一人でも多く救いたいとの強い思いで独立。 自身のこれまでの経験とピラティストレーナー、管理栄養士としての実績を合わせ、健康で美しくなるための身体づくりを伝えている。  

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